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いつもコラムを読んでくださり、ありがとうございます。
第三章“キング編”では、王のカードに象徴される「中枢を支える力」に焦点をあて、全体を見通した設計の重要性をひも解きます。
(ご参考:横浜三塔物語 〜J.Q.K.A.は何処か、ご存知ですか?〜)
トランプゲームの中では、キングのカードはエースに負けてしまうので最強ではありません。
チェスのキングも、縦横無人のクイーンの可動範囲に比べて一歩ずつしか進めません。チェックメイトされるまで守られながらも最後まで盤面を俯瞰し続ける唯一の存在です。そんなキングのイメージを今回、「全体を見通す設計者」としてアーキテクチャーやガイドラインの設計に例えてみたいと思います。
システムや装置の開発設計において全体的コンセプトに基づくアーキテクチャー策定と運用ガイドラインの整備は不可欠です。可用性・性能・コスト・信頼性・を同時に成立するためには、計画段階での俯瞰力と柔軟な対応力が求められます。
ここで参考になるのが、「装置設計は難しい?」というブログです。
■今回のピックアップ・ブログ その1
設計思想にもとづき、コンポーネントの構成や制御方式、一気通貫した仕様の策定を行います。
ハードウェアやソフトウェアの実装を性能・コスト・信頼性などトレードオフを考慮しながら設計し、難しくも楽しいエンジニアの世界が語られています。
もう一つの参考となる記事は「オープンにつなぐ”時代の安心安全なITシステム」です。
■今回のピックアップ・ブログ その2
ストレージ製品のアーキテクチャーの策定などの経験談から 24時間365日稼働し格納するデータを保全し続けるために、フォールトトレラントとしての冗長化構成や障害切り分けのエラーコードをシステムログに記録するオブザーバビリティの設計をした話も紹介されています。さらにオープンにつながるシステム同士を安定的に稼働させるため、しっかりとしたガイドラインによるネットワーキング運用の重要性も示唆されています。
かの有名な大阪の陣で真田信繁という武将が準備し築城した砦「真田丸」は多くの工夫により、攻める側の敵を翻弄し消耗させ、撃退しました。
フォールトトレラントとは少し違うかもしれませんが、攻め手の行動をシミュレーションしながら見通して、綿密な対策を考えている部分に、アーキテクチャー設計との共通性を感じます。
その大阪の陣よりおよそ2世紀の後には、前のジャック編のコラムにも記載したナポレオンが登場しました。
ナポレオンは機動力と砲兵などの火力の攻撃力を最大化して戦局を我が物にするのが得意だったのは有名です。
ITアーキテクチャーや手法に彼の軍略を照らし合すと、アジャイル開発(機動力・スピード)、独立デプロイ可能なモジュール/サービス(軍団制)、統合管理のAPI連携、統合管理基盤(兵種連携)、クラウド活用したスケーラブル拡張(現地調達の軽い補給線)となりますでしょうか。
そのナポレオンも後日、ロシア遠征において「時間と距離を武器にした作戦」で撃退されてしまいました。
設計も状況に応じた対策や、予想される次の展開への備えが必要です。
戦いの歴史にたとえましたが、都市の開発計画などの街づくりにも「盤面を描く」思想をみることができると思います。
みなとみらいの歩行者ネットワークに「クイーン軸」「グランモール軸」「キング軸」の名称があることをご存知ですか。
これらの歩道は、訪れる人たちにとって快適で回遊性の高い歩行者ネットワークとなるように、開発・整備が行われてきたそうです。
私たちの本社があるビルは「クイーンズタワー」と言いますが、クイーンズスクエアを接点に歩行者ネットワークの「クイーン軸」に面しています。また、クイーンズタワーから横浜駅まで美術館前にある歩道の「グランモール軸」でつながり、ここにはかつてジャックモールという商業地区がありました。
そして、このグランモール軸は横浜駅までの途中にてさらに「キング軸(新高島駅から海への歩行者ネットワーク)」を横切ります。この新しい系列の整備も、今後進められていくそうです。
Q、J、K、・・・名付けからして横浜三塔物語にもつながる都市計画ですね。
都市もシステムも、未来(みらい)を見据えた計画・設計を描くことが求められています。

みなとみらいの風景(手前のビルがクイーンズタワー)
さて次回は、いよいよエース登場です。覚醒するってどんな感覚なのでしょうか。お楽しみに。
2026年2月
株式会社 日立情報通信エンジニアリング
経営戦略本部 ブランド・コミュニケーション部 阿部 哲也
※編集・執筆当時の記事のため、現在の情報と異なる場合があります。編集・執筆の時期については、記事末尾をご覧ください。