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第21回クイーンの関所 〜ゼロトラスト時代のネットワーク防衛〜

キーワード

  • #セキュリティ
  • #ネットワーク
  • #AI活用
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今回もコラムをご覧いただき、ありがとうございます。前回の第一章のジャック編に引き続いて、今回の第二章“クイーン編”では、女王の塔のように全方位を見渡し、守りと統制を担うセキュリティの視点を取り上げます。

横浜三塔物語の「クイーンの塔」は横浜税関の建物です。
このコラムでは、ネットワークセキュリティの役割をクイーンの塔(税関・関所)にたとえますが、単なる門番ゲートキーパーではなく、ルールを司る統治者のイメージでお話させていただきます。

OTとITが融合し、境界防御が限界に

工場の生産現場などのOT環境では、調達などの外部のIT環境であるクラウドサービスとのシステム連携が進み、ネットワークも複雑化してサイバー攻撃に対する防衛が難しくなってきました。
また、VPN環境における盲点からマルウェアの侵入を許してしまった事例が最近ありました。こうした背景からネットワークセキュリティは境界型からゼロトラストへと移行が進み、より強化されています。

税関とゼロトラストセキュリティの共通点

ゼロトラストに関するブログ記事の中から次の記事をご紹介します。

■今回のピックアップ・ブログ その1

本記事にも書かれておりますが、境界防御を超えたゼロトラストセキュリティでは、監視と運用が安全の要です。
これは、税関が国境を守るだけでなく、条件を満たすかを確認して通過を許可する仕組みに通じていると思います。

税関では、国境を守るだけでなく、貨物や人を書類、現物、履歴などで判断して通過を許可していますが、ゼロトラストセキュリティも似ていて、境界だけに頼らず、すべてのアクセスを検証し、続ける考え方があります。
また税関とゼロトラストの共通点は、信頼できるかどうかは一度きりではなく、条件(例:場所・端末登録・リスクなど)を元に何度もチェックされている点にもあると思います。許可範囲も限定されているという点も見逃せません。

税関の「輸入許可は申告範囲のみ」であるのに対して、ゼロトラストにも「最小特権の原則(Principle of Least Privilege, PoLP)」があります。これは、ユーザーやシステムに対し、業務遂行に必要な最低限のアクセス権限のみを付与するという考え方です。もしも万が一に侵害された場合にも、ラテラルムーブメントやマルウェア拡散によって攻撃される対象の範囲を限定して、データ漏洩やシステム停止の被害リスクの伝搬を抑制することができます。

また、税関の水際対策(抜き打ち巡回)は、ゼロトラストにおける通信ログ監視による異常検知に通じると思います。広範囲に分散して異常がないかを継続的に監視するということです。
昨今は、複数データセンタやクラウドに分散されている環境も増え、その結果ポリシーの違いや保護範囲の曖昧さが問題となり、インシデント発生時の対応遅延が懸念されます。人の力だけではセキュリティ管理は困難になりつつあります。

SD-WANとAI支援による“最強のクイーンの防衛線”

ここで、先月公開したばかりの最新のブログ記事を紹介します。
オブザーバビリティ技術を活用した高度なセキュリティについて解説しており、クラウドに分散されたアプリケーションをAIによる自律型セグメンテーションや自己検証型アップデートで管理できるという興味深い内容です。

■今回のピックアップ・ブログ その2


スペードのクイーンはパラス・アテナ神

今回は、ネットワークセキュリティをクイーンの塔(税関・関所)にたとえました。
チェスでクイーンといえば全方向に移動できる最強の駒です。塔の形状をしているクイーンの駒ですが、塔の上から見下ろす階下には死角がありません。セキュリティの網を張りめぐらし、ルールを統制して安全を保障する象徴に見えてきます。
さらに、トランプのスペードクイーンのカードのモデルはギリシャ神話のアテナ神で、邪悪を祓うイージスの盾を持っていることでも知られています。まさにクイーンは全方位を見渡し、安全を守っています。

さて次回はキング編の予定です。王の燃える手は戦い抜く覚悟と知恵の象徴・・その哲学に触れます。
ご期待ください。

2026年2月
株式会社 日立情報通信エンジニアリング
経営戦略本部 ブランド・コミュニケーション部 阿部 哲也

※編集・執筆当時の記事のため、現在の情報と異なる場合があります。編集・執筆の時期については、記事末尾をご覧ください。