労働力人口の減少が見込まれている製造業界では、無線技術やIoTを活用したスマートファクトリー化が喫緊の課題となっています。スマートファクトリー化の実現には、通信に関連した性能の飛躍的な向上が期待できる5Gに注目が集まっています。5Gは今後の日本の社会にどんな変化をもたらしていくのでしょうか。
2017年12月に実施された経済産業省 製造産業局の調査*1によると、少子化と製造業への就業希望者の減少によって、大企業と中小企業を合わせた製造業者の企業の94%で、人手不足を感じています。中でも特定の技能分野で高度な熟練技能を発揮する高度熟練技術者や、開発・設計などにかかわる技術的技能者が著しく人手不足であるとのことです。
また、工場などの生産現場では、消費者の多様なニーズに応える必要があります。生産ラインの柔軟な変更ができるように工場内ネットワークを有線LANから無線LANに切り替えて、機械設置環境の改善を図っています。さらに、無線センサを活用して産業機械の故障予知を行うなど、無線システムの利用に期待が高まっています。
生産現場では、同時に接続した装置や設備のセンサなどから、一貫性のある大規模なデータをリアルタイムに収集し連携させることで、装置や設備の稼働効率を上げたいと考えています。稼働効率向上の実現には、工場内のさまざまな無線システムの混在や産業機械からの電波雑音などによって、無線通信が不安定になることが課題です。
さらには、製造業における人手不足が加速している中、熟練者の技術を若手従業員に継承することや、現場で蓄積されたノウハウを伝承することが、非常に難しい現実を解決することも課題です。
製造業界では、工場やプラントの生産ラインや機械にネットワークを導入し、データ解析やAIを活用して生産性および品質管理を向上させる「スマートファクトリー化」が進められています。しかし、スマートファクトリー化の推進に当たって、多くの製造現場では次のような問題を抱えています。
無線技術やIoTを活用して、スマートファクトリー化を推進していくことで、これらの問題を次のように効率化・自動化でき、工場の生産性を向上させ、さらには技術の継承にも貢献できると考えます。
これらを実現するには、超高速化によるデータ処理、通信の遅延をきわめて小さく押さえる技術、そして同時に多数の機器と接続する技術を持つ「5G」は欠かせない要素技術です。
また、Wi-Fiでは多数の機器を接続した場合のレスポンスや安定性に不安があり適応できなかった分野への、ローカル5Gの適応も期待されています。
今後、スマートファクトリーの中核を担っていく新技術を導入するに当たって、5Gには大きな期待が寄せられています。
今後、さらに大規模化・複雑化するネットワークをさまざまなサービスと連携させて、効率的に運用するためには、IoTの自動化、シンプル化が必要です。これらに対応する手段として、大容量通信・多接続・低遅延の特徴を持つ5Gの活用が有益と考え、さまざまなソリューションへの適用・検討・検証を進めます。
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