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CTO’s Office

生成AIでAIをつくる!?
画像AI開発で驚きの成果に大興奮!

CTO 松並 直人

キーワード

  • #AI活用
  • #ChatGPT
  • #エンジニアリング
  • #画像認識
こんにちは。CTOの松並です。
今回は、生成AIを使った製造現場の生産性向上のユースケースについてお伝えします。生成AIを活用した外観検査のトライアルを通じて、驚きの結果を得ました。
外観検査は、製造ラインで生産される製品の良品・不良品を判定する重要な作業です。従来は人が目視により行っていましたが、近年では生産品の撮影写真を画像AIで判定するAI外観検査が一般化してきました。しかし、このAIプログラムの開発には、AIの専門家やデータサイエンティストが必要でした。
そこで、今回は生成AIシステムであるChatGPTを活用し、AI外観検査のAI画像判定プログラムとディープラーニングモデルを作成することにしました。
トライアルのため、比較的シンプルなオルゴールの製造ラインを対象にしました。良品と不良品の写真を教師画像として用意し、画像AIによる外観検査で判定することをめざしました。

図1.製造品の正常・不良画像の例

図1.製造品の正常・不良画像の例


図2.オルゴール製造ラインの例
図2.オルゴール製造ラインの例


私たちのプロジェクトチームは、AIの知識のないエンジニアが中心となって、ChatGPTとの対話を通じてディープラーニングモデルを生成しました。チームのメンバーはプログラムの開発には長けていましたが、AIの専門家ではありませんでした。このプロジェクトでは、彼らがAIの専門知識を持たずに開発できるかどうかを検証することも目的としました。
ChatGPTとの対話を通じて生成されたディープラーニングモデルに対して、GPUマシン上で約150枚の良品・不良品の教師画像を学習させました。300回の反復学習(300エポック)の後、実際の生産品の画像を判定させたところ、なんと判定精度100%の結果を得ることができました。

図3.生成したAIモデルによる判定結果
図3.生成したAIモデルによる判定結果



何より驚いたことに、エンジニアがChatGPTとの対話を始めてからわずか3日間で、この素晴らしい結果を得ることができたのです。生成AIの力を借りることで、AIの専門家でなくても高い判定精度を実現できることを実証できました。

プログラム開発を担当してくれたエンジニアの及川さんの話:

及川さん
及川さん


「正直、最初は認識精度がかなり低くて頭をかかえましたね。
そこでめげずに、ChatGPTと一緒に協力してどうにか改善しようと頑張りました。
具体的にどうしたかというと、自分の改善アイデアをChatGPTに相談して『そういうアイデアはディープラーニングを使った画像認識ではよく使われる手法です』という回答で勇気をもらって、学習データを手直しして追加したり、学習データの量を増やしたり、複数のニューラルネットワークを試してみたり、どれだけ学習が進んでいるのかわからなかったときも相談して、学習時に評価結果を表示するように変更したりしました。
こうやって、AI領域の知識がなくても、既に習得している知識と自分の持つ課題解決アイデアをベースに、ChatGPTという心強いアシスタントと協力して高い判定精度が実現できたのは自分の幅が少し広がった感覚がして、とても気分がよかったですね。」

プロジェクトに参画してくれたIoTチームの須賀田さんと松田さんの話:

須賀田さんと松田さん
須賀田さんと松田さん


「今回、教師データとなる画像サンプルを提供しましたが、提供後、わずか3日で高い認識精度のトライアル環境ができたことに驚きました。現在IoTエッジ(*)におけるAIの適用、いわゆるエッジAIは、画像検査にとどまらず、さまざまな分野に用いられつつありますが、生成AIの活用によりエッジAIがさらに広まっていき、生産性の向上やコスト削減といったメリットをより多くの方に感じていただけるのではないかと、大きな期待を持ちました。」


以上、製造現場の生産性向上に関する生成AIのユースケースをご紹介しました。
このように、エンジニアの皆さまは、生成AIをパートナーとして活用することで、生産効率を飛躍的に向上させることができます。AIの民主化の波に乗り、自身の業務にAIを取り入れてみてください。生成AIの力を活用することで、驚きの成果を得られるはずです。新たな可能性が広がることを願っています。

集合
本プロジェクトのチームメンバー


2024年3月
株式会社 日立情報通信エンジニアリング
CTO 松並 直人





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日立情報通信エンジニアリングは生成AIや多様なツールによるIoTデータの利活用を支援するため、センサーやカメラなどのさまざまなエッジデバイスの活用提案によるデータ収集を行うとともに、収集したデータの形式を整えてオンプレミスのサーバーやクラウドに格納することで上位アプリケーションによるデータの迅速かつ効果的な活用を実現する「IoTエッジ向けインテグレーションサービス」を展開しています。

※編集・執筆当時の記事のため、現在の情報と異なる場合があります。編集・執筆の時期については、記事末尾をご覧ください。