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ChatGPTとの対話で、気軽に始めるアプリ開発!

エンジニアリング事業部 画像技術開発本部 及川 芳弘

キーワード

  • #エンジニアリング
  • #ChatGPT
  • #プログラミング
  • #人工知能
  • #生成AI
日立情報通信エンジニアリングの及川です。今回、私が実際に行った内容を紹介しつつ、ChatGPT*を使ったアプリ開発に興味を持っていただきたいと思いblogにしました。
私たちの会社ではChatGPTの将来性に着目し、活用するための活動が盛んにおこなわれています。その一環として、今回のblogを通じて新しいことに簡単にチャレンジできる、ということをお見せします。技術に興味がある学生や若手の技術者の皆さんはぜひお付き合いください。
*
ChatGPTはOpenAI社の商標です。

未知の領域へチャレンジ

近年の技術的な進歩は著しく、未知の領域へチャレンジする必要があります。このためには、新しい技術を早期に習得する必要がありますが、難易度が高くなる傾向があり、「技術習得に時間が掛かる傾向」があります。また、私たちの会社は、数多くの開発実績があるため「その経験を社内の設計者に活用できないか?」と常々考えていました。
そのような中、ChatGPTをうまく活用することで、今後のビジネス創出や拡大の足掛かりとなりそうなことが見えてきています。

アプリ開発に対するChatGPTの有効活用について

ChatGPTが世間を賑わせてから日にちが経ちましたが、皆さんはChatGPTに触れてみましたか?さまざまな活用方法がありますが、このblogではChatGPTを活用したアプリ開発のチャレンジについてお話しします。
アプリ開発の課題やその解決方法としてChatGPTをどのように使うのかについて説明していきます。

アプリ開発の課題は何か?

アプリ開発をしたいと思ったことはありませんか?しかし、ネットを調べても適切な情報にたどり着けず、アプリ作成に踏み出すことに躊躇している方もいることでしょう。あるいは、アプリ開発の本を買ってみたものの三日坊主になった、なんていう経験を持っている人も多くいるのでは?
大丈夫、安心してください。それはアプリ開発「あるある」です。いや、なにか新しいことを始めるときの「あるある」です。最初の一歩を踏み出すことができてしまえば、次のステップに行くのも容易になります。解決策を提示する前に、なぜ最初の一歩で「つまづく」のか、課題について考えてみましょう。

課題@:アプリの開発をしたいが、調べても適切な情報に辿り着かない
本やオンラインの情報を探しても、自分が思い描くアプリの開発手法や具体的なステップが見つからないと感じるかもしれません。問題に直面したとき、それを適切なキーワードで検索し、過剰な情報の中から必要な情報を見つけるのは、初心者にとってはひと苦労かもしれませんね。
書籍を買ってみたものの、開発ツールのバージョンは刻々と変わっていて、対応バージョンの書籍を購入しなければならない、書籍に書いてある通りにはできるけれども、やりたいことについて調べるときには結局開発ツール側にある大量のWeb情報やリファレンスに頼らざるを得ないということはよくあります。それが大変だから本を買っているのに!……ですよね。


課題A:勉強から始めてもなかなかアプリ作成に辿り着かない、相談する人もいない
アプリ開発にはプログラミングやデザインなど、多岐にわたるスキルが必要です。それらのスキルを身につけるために勉強を始めるものの、なかなかアプリ作成につなげることができないと感じる人もいるでしょう。最初のステップがハードルとなってしまうことがあります。
それに、開発環境のインストールやセットアップなど、調べることは山ほどあります。
断言しますが、勉強してから開発しようとしてもダメです。
え?……なぜかって?
開発ツールの全てを知ったところでアプリの開発はできないからです(笑)
まずは「自分の手を動かそう」、「自分で調べよう」、「誰かに聞こう」が開発の鉄則ですが、誰かに聞ければ苦労しないし、質問掲示板に書くのも面倒。それに書いても直ぐに回答があるわけでもない……。それはそうです。
こうした課題に直面している人は安心してください!同じような悩みを抱えた人もアプリ開発の道を切り拓くことが可能になりました。
その鍵となったのが、"ChatGPT"です。
次の章ではChatGPTがアプリ開発を始める上でどのように役立つかについて詳しくお話しします。

ChatGPTの登場

アプリ開発において課題を抱えていた人に朗報です。ChatGPTの登場によってソフトウェア開発は大きな転機を迎えました。ChatGPTは、自然言語処理をベースにした人工知能(AI)の一つで、人間との対話によってアイディアの提供やサポートを行うことができる優れたツールです。では、ChatGPTを使うことでアプリ開発にどういう利点をもたらすのでしょうか?

利点@:何をやりたいかをChatGPTに示すことで、アプリのテンプレートを提示してくれる
私は、アプリのアイディアをChatGPTに「シンプルな言葉」で伝えると、ChatGPTが基本的なソースコードのテンプレートを提供することに驚きました。テンプレートの提供により、アプリ開発の初期段階でのスタートが非常にスムーズになりました。以前はアイディアからコードに落とし込むのに時間が掛かっていましたが、ChatGPTのおかげで直ぐに着手することができるようになったのです。
ChatGPTは、プログラムについて「かなりの部分」でコードを理解します。ですが、ChatGPTの学習モデルに使われた学習データは2021年9月までのものなので、それ以降に登場したAPIなどについては把握してないので注意が必要です。もし「新しいAPI」について知りたければ、ChatGPTにリファレンスマニュアルの内容を教えることで、ChatGPTは「新しいAPI」を理解し、どのように使うかアドバイスを行います。(2023年9月末、OpenAIは一時とりさげていたWeb検索機能を改めてベータリリースしたので、Web検索した情報を元に回答を作成することが可能になりました。それにより利便性が格段に向上しています)

利点A:困ったら相談しながら作成を進められる、調査も肩代わりしてくれる、一緒に歩んでくれる賢い仲間(バディ)になる
ChatGPTはただのツールではなく、アプリ開発の仲間として頼りになります。開発に困ったときには、ChatGPTに相談すれば適切なアドバイスが得られるので、ひとりぼっちで開発に取り組むよりも安心感があります。ときにChatGPTは、間違ったアドバイスをすることもあり注意が必要ですが、必要な情報を調査するので、開発者はより深くアプリの内容に集中できるようになります。
ChatGPTと共に開発を歩むことで、開発初心者でも新たな世界に一歩踏み出すことができます。初心者の不安や葛藤を取り除き、スムーズに学習やプロジェクトを進めることができるようになります。

次の章では、ChatGPTを活用することで実際にどのような成果が得られたか、具体的な事例をお伝えします。

ChatGPTを活用したチャレンジについて

私は、ChatGPTとの出会いによって新たな可能性を感じ、アプリ開発に対する可能性が広がりました。ChatGPTの活用によって「さまざまな分野の開発に挑戦する。」ことが可能になりました。これはすばらしいことです。ChatGPTを使ってアプリ開発を進めることで、「課題を克服し、スキルや知識を身につけることができる。」という自信も芽生えました。また、「これまで自分が挑戦しようとしていた分野に加えて、新しい領域にも果敢にチャレンジしてみよう!」と考えるようになりました。
皆さんもChatGPTを活用することにより、新たな可能性を切り拓くことができるでしょう。

ChatGPTを活用した成果

実際にChatGPTを活用して行った成果を紹介しましょう。

@生成AIのWeb API活用やコンパイラの作成
私は、ChatGPTを通じてアプリ開発の分野に留まらず、Open AIのWeb API活用やコンパイラの作成などの分野にも積極的にチャレンジしました。ChatGPTのテンプレートをベースにしながらも、独自のアイディアを加えて、より洗練された成果物を生み出すことができました。

A画像認識モデルの作成
ChatGPTと会話しながら画像認識モデルを構築していき、GPUを駆使して動作する画像認識プログラムとダッシュボードを作成しました。結果として早期に認識率100%を達成することができました。最初の立ち上げが早く、本質的なチューニングに早く着手できるメリットがあると感じました。

B短期間での開発スピード向上
私は、ChatGPTのサポートを受けることでアプリ開発のスピードが大幅に向上しました。特に、初期段階でのアイディアの整理や基本的なテンプレートの提供によって、開発の立ち上げが迅速に行えたことが大きなメリットでした。これにより、素早くプロトタイプを完成させ、迅速な改善とアップデートを行うことが可能になりました。

Cアプリ開発における苦労が軽減
ChatGPTの存在は、アプリ開発における私の苦労を軽減させました。特にChatGPTは賢いアシスタントとして、調査や情報収集の手間を省き、私は「よりクリエイティブなアプリ開発」に集中することができるようになりました。
これらの成果は、私に大きな自信と達成感をもたらしました。ChatGPTとの対話を通じて、技術の障壁を乗り越え、自分のアイディアを形にしていく喜びを実感しています。

今後のビジョン・方向性

私たちの会社では、ChatGPTとの出会いを通じて得た成果を活かし、今後のビジョンを描いています。ChatGPTやOpenAIのAPIを活用して、さらなる成長と発展をめざす方向性についてお話ししましょう。

@ChatGPTやOpenAIのAPIを用いた開発の効率化
今後、私たちの会社ではChatGPTやOpenAIのAPIを活用し、アプリ開発や各種プロジェクトの効率化を図ります。ChatGPTの自然な対話形式を活かし、アプリのアイディア出しや設計段階を迅速に進め、APIを活用することで、複雑な処理や計算を自動化、開発者がより創造的な作業に集中できる環境を整備していきます。

A社内の埋もれた情報の活用
ChatGPTは会社内に埋もれてしまっている情報を活用するためのエンジンとして機能すると考えています。既に文書化されていても扱うことが難しい状態になっている眠った情報、つまり「情報の埋蔵金」が社内には多く存在しています。一部の情報は、それらを取り扱うために経験が必要なケースもあります。生成AIを活用することによってだれでも容易に情報を得る仕組みができ、それが開発効率の向上につながると考えています。

Bさまざまな分野の応用
私たちの会社は、ChatGPTやOpenAIのAPIをアプリ開発にとどまらず、他のさまざまな分野での活用と応用をめざします。例えば、医療、教育、ビジネス、研究など、さまざまな領域でAIの力を生かしたプロジェクトを展開していくことが考えられます。ChatGPTの多様な機能と柔軟性を生かし、社会的な課題の解決に貢献できるようなプロジェクトにも挑戦していきます。

これらのビジョン・方向性を実現するために、私たちの会社は、引き続きChatGPTなどの生成AIの最新技術をキャッチアップします。今後、技術に興味がある人たちと共に成長していけることを願っています。
皆さんも、ChatGPTを活用して自らのアイディアや夢を形にし、新たな分野での挑戦に積極的に取り組んで下さい。未知の領域での発見や成長が、きっと素晴らしい経験となることでしょう。私たちは、皆さんと共に素晴らしい未来を切り拓いていけることを楽しみにしています!

2023年10月
株式会社 日立情報通信エンジニアリング
エンジニアリング事業部 画像技術開発本部 及川 芳弘