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こんにちは、いつも当コラムをご覧いただき、ありがとうございます。
前回はエネルギーの「消費(フロー)」に焦点を当て、“止められない消費をどのように制御するか”という視点でお話ししました。
今回はその対になる「蓄える(ストック)」という観点から考えてみます。
PCの無線キーボードやマウス、テレビのリモコン、車のキーなど、日常生活ではさまざまな機器に電池が使われています。
いざというときのために予備電池をストックしている方も多いのではないでしょうか。
しかし電池は、使っていなくても少しずつ自然放電が進みます。
一般的には月に1〜2%程度容量が減少するといわれており、長期間放置していると、いざというときに使えないということも起こりえます。
「使おうと思ったときに限って電池が切れていた」
「しまっておいた予備が、いざというときに役に立たなかった」
そんな経験に心当たりがある方も多いのではないでしょうか。
また、スマートフォン用のモバイルバッテリーも同様に劣化が進みます。
落下や経年劣化によって内部でガスが発生し、膨張や発火につながる恐れがあると報告されています。
「備えているつもり」が、必ずしも安心とは限らない。ストックには、そうした側面もあるといえます。
では、ここでバッテリー技術について触れてみます。
蓄電池が必須なEVなどを対象とした充放電システムの仕組みや多数の計画的な充放電の制御方法については、
以下のブログ記事で紹介されているのでご覧になってください。
■今回のピックアップ・ブログ
電池はニッケル・カドミウム電池からリチウムイオン電池へと進化し、現在では全固体電池など、さらに高性能な技術の開発が進められています。
EVに代表されるように、エネルギーを効率よく「蓄える」技術は、社会インフラの一部としても重要性が増しています。
また一方で、かつてはストレージシステムなどで、電源が遮断されたなどの緊急時にキャッシュデータの保持のために
バッテリーを使うケースもあり、定期的なバッテリーのメンテナンスが必要でした。
現在では、電源がなくてもデータを保持できるフラッシュメモリーへの書き込みによって代替されるようになっています。
では、こうした「ストックの劣化」は、エネルギーに限った話でしょうか。
実は、データも同じような性質を持つ“ストック”です。
写真や動画、昔の資料、バックアップしたまま見返していないファイルなど、私たちの身の回りには
「大事だから残してあるもの」が少なくありません。
けれど、それらも置いておくだけで安心とは限りません。
フラッシュメモリーを使うSSDやUSBメモリーは、書き換え回数や保存期間に制限があることはよく知られています。
さらに長期間放置すると、電気的に保持されているデータが自然に消失してしまう可能性もあります。

もちろん、クラウドサービスにデータを格納すれば、多くの場合は安全に管理できます。
ただし、容量が増えるほどコストも増加し、ネットワークが利用できなければクラウドにアクセスはできません。
エネルギーと同じように、データも「蓄えておけば安心」というものではなく、管理してはじめて価値を持ち続けるものといえます。
エネルギーもデータも、時間とともに変化し、放置すれば失われていく存在です。
「蓄える」という行為は、それだけで完結するものではなく、点検やメンテナンスといった「管理」とセットで考える必要があります。
かつての生活においても、燃料となる薪や炭を備蓄し、書物を虫干しするなど、長期保存のための工夫が行われてきました。
7月は「文月」。
その由来の一つには、七夕の夜に書物を開いて風にさらし、虫干しや書道の上達を願った「文披げ(ふみひろげ)」という風習が由来という説もあります。
形は変わっても、「かけがえのない蓄えたものを保ち続ける」という知恵が、今も変わらず生活の中で続いているのかもしれません。

気づかないうちに増えていく“蓄え”は、便利さの裏返しでもあります。
だからこそ、たまに立ち止まって見直すことが大切なのだと思います。みなさんの身の回りにある「ストック」は、きちんと管理されていますか?
私自身も改めて気づかされましたので、家にある古いメディアやUSBメモリーなどと、その保存されているデータの点検やクラウドサービスへの移行などを早速見直そうと思います。
前回の「消費の制御」に加えて、将来かけがえのない資産(アセット)に成りうる「ストック」の管理もまたこれから重要なテーマになっていきそうです。
2026年7月
株式会社 日立情報通信エンジニアリング
経営戦略本部 ブランド・コミュニケーション部
阿部 哲也
※編集・執筆当時の記事のため、現在の情報と異なる場合があります。編集・執筆の時期については、記事末尾をご覧ください。