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上流品質の作りこみ

エンジニアリング事業部 IoT Edge 技術開発本部 主管技師 清水 孝治

キーワード

  • #上流品質
  • #落穂拾い
  • #品質向上
私は入社以来ハード開発に従事しています。その中でも自分が担当者として開発に従事してきた時の経験を踏まえて、上流品質の作りこみについて紹介させていただきます。
当時、私は、日立のストレージ製品の電源開発を担当していました。当時は次々に新製品の開発が行われ、電源の開発期間も短くなっていき、電源の設計評価段階での不具合は電源が搭載される製品の開発日程にも影響をあたえてしまうほどでした。その中で、如何に開発期間を短く、かつ設計評価段階から性能を満足した電源を開発し、装置への影響を最低限にするかが命題のようなところもありました。
開発工程は大雑把に述べると、仕様検討〜設計〜試作組み立て〜評価/認定〜製品となります。この工程の後ろの方で不具合が発生し、対策が必要になれば上流工程に戻ってやり直しが発生し、日程遅延を引き起こしてしまいます。そのためには上流工程で品質を作りこみ、後ろの工程で不具合を出さないことが重要になってきます。
不具合が発生してしまった時、次機種の開発で同じことを発生させないための再発防止手法、実行が重要となります。
再発防止手法とは、開発工程を見直すような大きな話ではなく、個々の開発プロジェクトなどで発生した不具合内容、時には個別不具合として見逃されるような軽微な内容についても、次回の開発で再発させないために改善する取り組みとなります。(軽微なミス、ポカミスほど盲点として存在します)
考え方の一例を述べると、ある開発で評価段階において不具合が発生したとします。評価で見つかったのだから開発工程はきちんと機能していることになります。但し、このままでは次の開発でも評価まで不具合を見つけることができません。それでは次の開発でも、評価⇒対策⇒再評価と工数が増えることになります。
これを改善するために、次の開発前にワンクッションを入れます。不具合はなぜ発生したのか、開発の上流工程(例えば設計構想段階、詳細設計段階)で対応することができなかったのかについて、次のように考えます。
仕様の考え方が違ったのか、お客さまと仕様の考えに相違がなかったか、設計方法に漏れがなかったのか、想定する条件が違っていたのか…など。
これらを次の開発で改善し、設計品質を向上させ、不具合発生を低減させることで、再評価などの工数削減にもつながります。日々のこの小さな取り組みが、最終的には製品の品質向上につながっていきます。
不具合の内容によっては、開発工程の見直し(ツールなどの追加、チェック機能の追加など)を行うこともあります。異なるアプローチとして、実機で問題ないことの確認、および不具合摘出手段として評価内容の見直しを検討することもあります。
また、日立には伝統的に落穂拾いの精神があります。これら不具合を発生させる動機的原因を追究し、再発防止追求する中で、諸先輩方から引き継がれてきたその使命感を強く感じます。
今回は、上流品質の作りこみの考え方の一例を説明させていただきましたが、今後もその他の施策も取り入れながら、さらなる品質向上に取り組んでいきます。

株式会社 日立情報通信エンジニアリング
エンジニアリング事業部 IoT Edge 技術開発本部 第1設計部 主管技師 清水 孝治