ネットワーキング事業企画本部事業戦略部の薄田です。私は弊社パートナー企業であるコンピュータネットワーク機器開発会社とのアライアンス強化を担当していますが、取り組んでいる施策の一つにネットワークエンジニアのプログラミング能力向上があります。
求められる、クラウド技術への対応
IaaS、PaaS、SaaSといったクラウドサービスの普及によりオンプレミスのインフラ環境からクラウドへの移行が進む中で、これまでネットワークエンジニアが果たしてきたネットワークの構築や運用・保守に加え、クラウド技術への対応が求められるようになっています。また、現在は、SDN(Software Defined Networking)と呼ばれる技術によるネットワークのソフトウェア制御や、サーバー・ストレージ・ネットワークの仮想化が一般化しています。
この状況の中で、クラウド・自動化・仮想化といった技術に対応できるネットワークエンジニアの需要が増しており、プログラミングスキルの重要性が高まっているという背景があります。デジタルトランスフォーメーションに対するユーザー企業の高い意識へ応えるアプリケーションとネットワークの連携、ウィズコロナ時代の新しい働き方を支えるクラウドリフト&シフトに即した次世代ネットワークインテグレーション。CLIによる設定に慣れ親しんだネットワークエンジニアがAPIによる設定変更を我が物とするためのリスキリングのモチベーションがここに生まれます。
“リスキリング”の主体
さて、ここで、昨今もてはやされ、一部バズワード化も危ぶまれる“リスキリング”について少し考えてみたいと思います。対比して思い出されるのが、1990年代にやはり世界を席巻した言葉“リエンジニアリング”です。
リエンジニアリングは既存の管理方法や業務プロセスを抜本的に見直すことで革新を図る経営手法ですが、ビジネス・プロセス・リエンジニアリング(BPR)という言葉がある通り、より効率化に結びついた概念であり手法であると思います。設計思想や実装・運用手法における全体或いは組織(i.e. オーガニゼーション)の集団的統制アプローチと捉えられます。
一方でリスキリングは技術革新やビジネスモデルの変化に対応するために新しい知識やスキルを学ぶことで、ここでは個人に焦点があてられています。多分に自己成長或いは自己救済的意味合いが強いと思いますが、集団のプロセス(リエンジニアリング)ではなく個人のスキル(リスキリング)に注目している点が興味深いと思います。冒頭に書いたソフトウェアの世界では、個人(一人ないし数人)のタレントとスキルが、即、イノベーションをも起こしうるからです。
自分事としてのリスキリング
翻って、かつてはビジネススキルと言えば外国語習得やMBA取得を意味したエンジニアではない私自身(所謂文系・事務職)が、近年はディープラーニングやPythonを使ったデータ分析の検定を取得するなど、ソフトウェアやプログラミングは万人にとってより身近なものとなっています。
冒頭で示した評論家的スタンスを排し、自分事としてリスキリングを考えたいと思います。
2022年8月
株式会社 日立情報通信エンジニアリング
ネットワーキング事業部 ネットワーキング事業企画本部 事業戦略部 専任部長 薄田 速海
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