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「伝える」こと、「伝わる」こと

テレコミュニケーション本部 システム第1部 春原 司

キーワード

  • #通信
  • #AI活用
  • #ネットワーク

皆さん、こんにちは。

販売パートナー向けに、IPテレフォニー製品の工事保守研修の講師を担当している春原です。

2014年から10年以上、この業務に携わってきました。

長年研修をしていると、いつも痛感することがあります。それは、こちらが「伝えた(教えた)」つもりでも、相手が迷わず正しく行動できなければ、本当に「伝わった」ことにはならない、ということです。

知識を一方的に渡すだけでなく、相手が現場で使える状態になって初めて、「伝わった」と言えるのだと思います。

研修で大切にしていること

研修の目的は、当社製品を現場で安定して構築・運用・保守していただくために、製品仕様や設定手順、工事保守時の注意事項などの基礎を正しく理解していただくことです。

研修テキストの改版や実習の進行においては、この「伝わる」ことを常に強く意識しています。

現場での迷いや手戻りが減れば、施工品質の向上につながります。販売パートナーの皆さまにとって扱いやすい製品になることは、ひいてはお客さまの満足や信頼にもつながっていきます。

マニュアルは膨大な内容のため、工事者目線で要点や注記を纏めた、現場で使える、振り返りのできる基礎テキスト主体での研修とし、質問・問い合わせ事例などの折り込み改版をしながら現在に至ります。

テキストは工事・設定・保守に分割し、作業フェーズごとにポイントをインプットしています。

AIにとっても人にとっても「原典」となるマニュアル

そんな中、最近私は生成AIを活用した問い合わせシステムの開発に関わる機会がありました。そこであらためて実感したのが、生成AIの回答精度は「ナレッジの元となる製品マニュアルの品質に大きく影響される」ということです。

用語が統一され、前提条件や注意事項が分かりやすく整理されており、必要な情報に迷わずたどり着けるマニュアルであれば、AIは適切な回答を導き出します。そしてこれは、人が読む場合もまったく同じです。

正しい設定手順が網羅されていることに加え、期待した動作にならなかったときの「見直し観点」や「切り分けのヒント」などが記載されているマニュアルは、AIにとっても人にとっても原典となり、実際の現場でより力強いサポートになります。

自己解決できるマニュアルが施工品質を高める

現場で安全かつ確実に使っていただくためには、作業手順や注意事項などが、読み手にしっかり「伝わる」マニュアルが欠かせません。「この製品を持って現場に行く人が自己解決できるか」という視点を社内全体で持ち寄って、マニュアルづくりに生かしています。

有人窓口などサポート部門では日々対応からのフィードバックとして、より使いやすいマニュアルに改版するための要望事項を、マニュアル作成管理元へ共有しています。

・どの順番で作業するのか(手戻りを防止)

・どこをどう確認するのか、どの条件で判断が変わるのか(試験手順や見直し観点など)

・何をしてはいけないのか(注意事項や禁止事項)

こうした情報がより具体的に記載・拡充されることで、販売パートナーの皆さまがさらに安心して使えるマニュアルに進化していくと考えています。 情報が明確で探しやすく、自己解決しやすいマニュアルは、現場で作業される方の負担を大きく軽減し、結果として施工品質を高め、お客さまシステムの安定稼働につながります。また、自己解決の促進は、社内外双方における問い合わせ工数の低減といった効率化にも貢献します。

最後に

マニュアルの品質向上は、作成管理元だけの役割ではなく、さまざまな関係部門が連携し、それぞれの気づきを持ち寄りながら一緒に高めていくものです。 有人窓口であっても生成AIであっても、現場で迷ったときの最後のよりどころ、いわば“原典”はやはりマニュアルに他なりません。

「伝えること」と「伝わること」は、似ているようで全く違います。 情報を発信して満足するのではなく、相手が正しく理解し、迷わず行動できる(自己解決できる)ところまで配慮してこそ、本当に「伝わった」ことになります。 これからもこの意識を大切にしながら、部門の垣根を越えて連携を深め、製品サービス全体の品質向上につなげていきたいと思います。

2026年6月
株式会社 日立情報通信エンジニアリング
ネットワーキング事業部 テレコミュニケーション本部 システム第1部 春原 司


※編集・執筆当時の記事のため、現在の情報と異なる場合があります。編集・執筆の時期については、記事末尾をご覧ください。