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社会や企業のDX推進を支える
5Gと当社の取り組み

1.企業におけるDXの現状

労働人口不足の解消に向けた対策として「働き方改革」が各職場で進められ、ダイバーシティの取り組みや、デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)の推進が行われています。

その動きは、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、停滞する経済活動を進める為にも加速が求められ、ビジネスにおいても「ウィズ コロナ」というニューノーマルな生活様式への転換が求められ、テレワークの対応や業務プロセスのデジタル化がより一層加速するものと思われます。

そのようなDX推進において、テクノロジーとしてはIoTシステムを本格導入して新たなサービス創出や業務改善につなげる例も見られるようになりました。

DXソリューションは、各種工場の生産ラインでIoTシステムが導入されるほか、コールセンターなどの会話・音声から顧客ニーズの分析や応答者のスキル向上を図ったり、映像から行動分析を行ったりと、活用の場が広がりを見てせています。

DXの普及がなかなか進まない医療分野においても、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大をきっかけに、オンライン診療をはじめとする遠隔医療の必要性が急速に高まり、実現に向けてデジタルシフトが加速するものと考えられています。

2.DX推進を支える5Gのいまと
将来展望

大規模工場でのIoTシステム導入では、多くの接続機器やセンサーなどから情報収集するため、大量のデータがネットワークを行き交います。
また、コロナ禍においては、在宅勤務者同士のコミュニケーションツールとしてはもとより、通信教育や、TVなどのエンターテインメント分野でもビデオ会議システムが活用され、一般化しました。ニューノーマルのビジネスにおいても、対面による営業や打合せに代わる手段としてさらに定着していくと思われます。このビデオ会議システムも、従来の音声データに加えてビデオ映像データを双方向で通信するため、より大容量のデータがネットワークを流れることになります。このように企業のDX推進においては、より多くの接続点から遅延なく大容量のデータを通信することが必要不可欠になってきます。

日本では、2020年を5G(第5世代移動体通信システム)元年として、3月からキャリア4社がサービスを開始しました。まずは商用サービスとして、エンターテインメント分野での活用がはじまっています。
政府も5Gの通信インフラ整備を国家戦略として掲げており、社会・公共サービスとして、5G本来の3大メリット(*1)を生かすSA(スタンドアローン)方式の5Gを本格的に全国普及させようと努めています。特に自動車の完全自動走行や無人自動運転移動サービスといった高度モビリティ社会の実現には、この5Gの3大メリットが必要不可欠とされています。大手リサーチ会社では、このために必要な通信インフラの整備が2025年頃と予想されており、国として施策を継続展開しています。

*1
5G SA方式の3大メリットは次のとおりです。
  • 超高速・大容量(10Gbps)
  • 超低遅延(1ミリ秒程度の遅延)
  • 多数同時接続(100万台/km2の接続)


図1 5G SA方式

3.ローカル5Gによる
自営網の構築

ローカル5Gとは、キャリアが提供する5G回線とは別に、企業や自治体などが自らの建物内や敷地内といった特定のエリア限定で自前の5G環境を構築し、IoTシステムやスマートファクトリーで活用しようというものです。

5G展開に伴う法改正により、企業においては自営BWA(*2)、ローカル5Gなどの企業独自の自営網を構築できるようになりました。キャリアによる5Gサービスの提供エリアが全国展開されるまでに時間が掛かる見通しの中、5G環境をいち早く導入できるのがローカル5Gの大きな利点です。
ローカル5Gに期待するユーザーの多くは、5Gのスペックをフル活用するのではなく、それぞれのニーズや特性に合わせて5G環境を構築・導入できることに着目しています。

*2
BWA:Broadband Wireless Accessの略。地域広帯域移動無線アクセス。

構築にあたっては、現状の4Gのコアネットワークとの共存によるNSA(非スタンドアローン)方式で早期に立ち上げることができ、将来的にはSA方式の5Gに移行することも可能です。


図2 5G NSA方式

企業がローカル5Gを構築した場合のメリットは次のとおりです。

  • 5Gの自営網開局による各地の拠点を含めた専用通信網の確立
  • 閉域網によるセキュリティの確保
  • 業務システム、工場などのIoTシステム、社内コミュニケーションシステムごとに混在していた、さまざまな通信 基盤の統一および集約
  • 統一および集約による通信基盤コストの節約
  • SIM(*3)による通信セキュリティ強化
  • 地域BWAとの共存や連携も可能
*3
5Gサービスで提供されるSIMでは、プライバシー保護、ハッキング耐性強化(IMSIの暗号化、秘匿鍵の更新可)など、セキュリティがいっそう強化されます。

なお、ローカル5Gの導入には、基地局の電波設計、免許申請・取得、基地局工事、運営といった、本来の事業とは異なる対応が必要であり、課題も少なくありません。したがって、自営網開局をワンストップで提供できるソリューションベンダーが必要になってきます。
さらに、ローカル5Gに適した製品の調達にも難しさがあります。キャリアが運営する商用5Gの基地局や端末をローカル5Gにそのまま利用できることから、商用5Gに通信機器を提供している大手グローバルベンダーがローカル5G向けに同一機器の提供を予定していますが、エリアやニーズが限定的なローカル5Gにはオーバースペックと言えます。また、初期導入や運用のコストも高額になり、予算が限られている企業や地方自治体などにとっては、導入の大きな障壁になると考えられます。
そうした中、ローカル5Gのターゲット顧客やキャリア向けにイーサネットスイッチなどのネットワーク製品を開発・提供していた一部のネットワーク機器ベンダーが、新たな取り組みとしてローカル5Gシステムの開発に乗り出す動きを見せています。

4.製造現場におけるDX

5Gによる無線環境の進歩は、IoTシステムにおける課題解決に大きく貢献すると言えます。
さまざまな環境下にある各種機器のネットワーク接続、各種センサーの数的課題、管理情報・機器制御のセキュリティ面の課題などに対し5Gが解決に導きます。

スマートファクトリー

スマートファクトリーとは、工場内のあらゆる機器や設備、工場内で人が行う作業などのデータを、IoTやAIを活用して取得・収集し、分析・活用することでサプライチェーンの全体最適と効率化を図り、新たな付加価値を生み出すしくみを持つ工場を言います。
製造装置から稼働情報を収集・解析して潜在不良の発生兆候を自動診断したり、画像解析で熟練ノウハウをデジタル化し、現場作業員の技能向上に役立てるなど、成功事例も数多くみられます。

フレキシブル製造ライン

フレキシブル製造ラインとは、固定されたひとつの大規模製造ラインではなく、さまざまな小口要望に対応すべく、製品を固定せずに短期間で柔軟に生産するラインを言います。
加工・検査・搬送などの作業をシステムで制御して自動で行うため少ない人員で作業できるうえ、具体的な作業は、産業用ロボットや無人搬送車などの機械とセンサーによって行われます。

5.医療分野におけるDX

新型コロナウイルスの感染拡大によって、医療機関でもさまざまな課題が浮き彫りになりました。今後の医療の課題を解決するために5Gが大きく貢献できる可能性があります。

非接触によるバイタル情報管理

ベッドや部屋にセンサーを設置して、患者のバイタル情報を収集したり、モニタリングしたりすることで、患者と医療関係者との接触回数を軽減でき、感染リスクの軽減やマスクや防護服などの装備品の削減に期待ができます。
5Gを活用することで、従来の院内システムと無線帯域を分け、低遅延でデータを収集し、全室のカメラ映像を同時に伝送するといった大容量の通信を安定して行える環境を構築できます。

オンライン診療、遠隔手術

オンライン診療は、今回の新型コロナウイルス感染予防に限らず、今後も発生するおそれがある新たな感染症への対策や、過疎地の医療支援策としても活用が期待されます。また診断だけでなく、さらにはロボットを駆使した遠隔手術といった医療に進化するとも考えられています。これには高精度なビデオ画像やリアルタイムのバイタル情報などによって状況を的確に判断し、低遅延で複数の器具を操作することが必要とされ、5Gがその有用性を発揮します。

遠隔コミュニケーション

コロナ禍では、病院や介護施設などにおけるクラスター対策として入院患者や入居者との面会が制限され、家族や友人とコミュニケーションを取ることが難しくなりました。一部の施設では、タブレットやスマートフォンを使って一般的なテレビ会議システムを活用することで双方のコミュニケーションを可能にしました。不安なときにこそ、お互いの顔を見ながらのコミュニケーションは心の安定をもたらします。
5Gを活用することで、遠方に暮らす家族や友人とも、通信上の遅延がなく、より鮮明な画像を使ってコミュニケーションを取ることができると考えています。

6.当社のできること

IoTシステムによるイノベーションやDXの実現には、有用なアプリケーションの選択と安定したネットワークインフラの構築が必要になります。

5G自営網の構築支援

ローカル5Gを活用した自営網構築を、お客さまに代わって免許取得から構築・保守・運用までワンストップによるプラットフォームの構築を支援します。

PHSシステムの切替支援(sXGP)

2021年1月に公衆サービスが終了するPHSに代わり、後継であるsXGPによる通話システムのリプレースメントと、特性を生かしたデータ通信への活用を支援します。

ネットワークの構築支援

数多くの企業ネットワークの構築実績を生かし、アクセス網の多様化への対応、WANを介したクラウド活用など、お客さまの環境に最適なネットワークの構築を支援します。

工場向けIoTシステムの
構築支援

5GやWi-Fiなど、個々の無線技術の特性を生かしたセキュアなIT/OTネットワーク環境の構築により、工場製造現場におけるDX推進の加速と総合的な無線化を支援します。

今後も、安定した5Gネットワークインフラの提供をはじめとし、さまざまな業種に向けてサービス分野ごとにパートナーとの連携を進めていき、End to Endのサービスに加えてモバイルエッジコンピューティングを活用したDXビジネスに貢献していきます。

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