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最近、日本企業各社の出資によって設立された新会社「ノエトラ」のニュースが話題になりました。
「ノエトラ(Noetora)」
サンスクリット語と聞くと、仏教の経典を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
実は、私たちになじみ深い「あ・い・う・え・お」から始まる五十音表の成立にも、サンスクリット語の研究が影響を与えたといわれています。
五十音表の成立には、平安時代の僧侶たちが、サンスクリット語、すなわち梵語を学ぶために研究した「悉曇学(しったんがく)」が関係しているそうです。
悉曇学では、梵字の母音と子音を一定の規則に従って整理します。
その整然とした配列が、日本語の音を体系的に捉える上での手がかりになったと考えられています。

ここで、「音を規則正しく並べる」という点に関連する、興味深いブログ記事をご紹介します。
■今回のピックアップ・ブログ
この記事では、電話機のボタン操作を伝える制御音に、複数の周波数がどのように割り当てられているかが解説されています。
電話機のボタンに使われる信号は、「行(Row)」側と「列(Column)」側に割り当てられた周波数を一つずつ組み合わせて表現します。
ボタンを押すと二つの音が同時に送られ、その組み合わせによって、どのボタンが押されたのか識別する仕組みです。
それぞれの周波数は、回線のひずみや雑音があっても、別の信号として誤って検出されにくいように選ばれています。
普段、何気なく押している電話のボタン。その背後にも音を整理し、正確に情報を伝える工夫が隠されています。
まだご覧になってない方は、ぜひお読みください。
さて、五十音表に話を戻しましょう。
五十音表は、日本語の音を母音と子音の組み合わせとして見渡すことができる、規則性の高い表です。
そのため、ローマ字表記をはじめ、日本語の音を整理して扱うさまざまな場面で役立ってきました。
五十音表と電話の制御音は、成り立ちも目的も異なります。
しかし、複数の要素を行と列に配置し、その組み合わせによって情報を表すという点には、どこか共通するものがあります。
人間が理解しやすいように音を並べること。
機械が正確に識別できるように音を組み合わせること。
規則正しい配列は、知識を整理するだけでなく、情報を伝え、再利用するための基盤にもなります。
以前の五十音表には、現在では日常的に使われなくなった「ゐ」や「ゑ」などの文字もありました。
表記が変化することで、言葉の歴史や成り立ちが見えにくくなってしまうのは、少し残念にも感じられます。
一方で、「あ」から始まる日本語の音の世界を「阿吽(あうん)」という言葉と重ねて捉える文化もあります。
神社や寺院の入口で向かい合う二体の像が、一方は口を開いた「阿形」、もう一方は口を閉じた「吽形」として表されているのを目にしたことがある方も多いでしょう。
始まりの音と、終わりの音。
音の並びには、情報を分類するだけでなく、文化的な意味や想像力も重ねられてきたのだと想像します。
サンスクリット語の真言には、日本語とは異なる独特の響きがあります。
意味を知らずに耳にすると、物語に登場する呪文のようにも聞こえます。
私が好きな作家、金庸の武侠小説「射G英雄伝」にも、梵語が物語の鍵となる場面があります。
作中には「九陰真経」という架空の武術の秘伝書が登場し、その一部が梵語で記されているため、長い間、内容を理解できないままになっています。
ところが、その言葉を覚えていた人物が口にしたことで、梵語を理解する天竺の僧侶がその意味にきづき、秘伝を解く手がかりを得られます。

意味が分からなくても、音として記憶され、別の時代や場所で知識をつなぐ鍵になる。
これは物語の中の出来事ですが、「音を並べ、残し、伝える」という営みの面白さを象徴しているように思います。
五十音表、電話の制御音、そして物語の中で受け継がれた言葉。
いずれにも共通しているのは、音を一定の形に整理することで知識や情報を、人から人へ、あるいは機械に伝えていることです。
今回は、音にまつわる話をお届けしました。いかがでしたでしょうか。
次回は、画像をテーマにお送りしたいと思います。
2026年9月
株式会社 日立情報通信エンジニアリング
経営戦略本部 ブランド・コミュニケーション部
阿部 哲也
※編集・執筆当時の記事のため、現在の情報と異なる場合があります。編集・執筆の時期については、記事末尾をご覧ください。