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ノイズに負けない 微小電流測定技術に挑戦!

エンジニアリング事業部 第4本部 第1部 森脇 肇彦

キーワード

  • #エンジニアリング
  • #ハードウェア

はじめに

こんにちは。エンジニアリング事業部 第4本部の森脇と申します。
私はアナログ技術を専門に、半導体設計や次世代技術開発に携わり、より高度で革新的なソリューションの創出をめざしています。
この記事では「微小電流測定技術」について、その特徴や取り組みの一端をご紹介します。
この技術は、ピコアンペア(pA)レベルという非常に小さな電流を高感度かつ高精度に測定することを目標にし、さらに市販の部品や材料を活用してコストを抑えた実現にも力を入れています。
微小な電流のわずかな変動を正確に捉えるためには、測定環境の整備や回路設計において、この分野に特化した専門的な技術と経験に基づくノウハウが欠かせません。
私たちは、これまでさまざまなエンジニアリングの現場で培ったアナログ回路技術を生かし、微小電流測定に挑戦しています。

微小電流測定が求められる場面とは?

環境計測機器や医療機器など、多様な分野での活用が注目されています。
例えばDNA解析などの分子レベルモニターでは、微弱な電流変化を検出し分子の挙動や反応を計測します。

図1.波形図

図2.DNA検出イメージ

微小電流測定の重要性と課題

微小電流は、半導体デバイスの評価や高感度センサー、低消費電力回路の設計など、多くの先端技術分野で不可欠な要素です。
そのため、微小な電流を正確に測定することは、製品の性能向上や信頼性確保に直結します。
微小電流測定最大の課題はノイズが測定値に与える影響です。
ノイズは測定値の安定性を損ない、測定時間の長時間化や真の電流値が把握できなくなるリスクを引き起こします。
@ノイズの影響
微小電流測定においてノイズは最大の敵です。ノイズレベルが高いと測定値の安定性が低下し、リップル(波形の重畳)が発生します。結果として測定の限界値が変動し、正確な値を得ることが困難となります。
A環境ノイズの例
・商用電源ノイズ(50Hzまたは60Hzの電源周波数による干渉)
・GNDループ(グランド間の電位差によるノイズ)
・電磁波や温度変化(周囲の電子機器や環境温度の変動も測定に影響)
B回路内ノイズの例
・ショットノイズや熱雑音(検出素子や電源素子から自然発生)
・周辺機器や生活環境由来のノイズ(電灯線やその他電子機器からの干渉)

ノイズ対策技術と実践的な測定環境の構築

微小電流測定におけるノイズ対策は、シールドやフィルタリング、回路設計の工夫をバランスよく組み合わせることが重要です。
これらを総合的に取り入れることで、ノイズに強い測定環境を整えることが可能となります。
@シールドの工夫
測定対象や回路を適切に囲い込み、外部からのノイズ侵入をできるだけ抑制します
Aフィルタリングの活用
高周波ノイズを抑えるためのフィルターを回路に組み込み、測定データに対してソフトウェア処理を行うなど、ノイズ成分の軽減を図ります。
B回路設計のポイント
微小電流を電圧に変換して増幅する回路の最適化や、温度変化の影響を抑える工夫が求められます。
また、キャリブレーション回路やソフトウェアによる補正処理など、安定した測定を支える設計も重要です。
単一の対策だけでノイズを完全に排除することは難しく、実際の測定環境に合わせてハードウェアとソフトウェアの複数の手法を組み合わせ、調整しながら最適化していくことが高精度測定のポイントとなります。

図3.回路構成イメージ

図4.実測例

まとめ

微小電流の測定は極めて繊細であり、ノイズ対策が成功の鍵を握ります。
当社は高度なシールド技術やフィルタリング技術、柔軟な回路設計を駆使し、pAレベルの微弱電流を安定して測定できる環境を提供しております。
今後も技術革新を続け、より高精度かつ信頼性の高い測定ソリューションの追求に努めてまいります。
ご質問やご相談がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。微小電流測定のスペシャリストが最適なご提案をいたします。


2026年2月
株式会社 日立情報通信エンジニアリング
エンジニアリング事業部 第4本部 第1部 森脇 肇彦


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※編集・執筆当時の記事のため、現在の情報と異なる場合があります。編集・執筆の時期については、記事末尾をご覧ください。