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株式会社日立情報通信エンジニアリング CTO(Chief Technology Officer)の松並と申します。今年度から、お客さまのビジネス上の悩みや課題にお応えできるよう、当社のソリューションやテクノロジーを通して、お客さまに貢献できる当社の価値について、できるだけ易しくご説明して参りたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

さて、当社はネットワーキング事業とエンジニアリング事業を生業(なりわい)としていますが、このネットワーキングとエンジニアリングのシナジーこそ、当社のユニークさであると考えています。

たとえば、IoT エッジシステムの構築においては、完全に IoT 化された設備や IT を一度に新規導入することは稀で、既存の設備で計測したデータの活用や、センサーを外付けして新たにデータを取得するなど、さまざまな設備・機器から色々な方法でデータを収集し、分析に活用することが多いと思います。しかしながら、市販のゲートウェイ製品では既存の設備の特殊なインターフェース・プロトコルに対応していないとか、所望のデータ測定を行える汎用センサーが見つからないなど、実現に向けてはさまざまな課題があるのではないでしょうか?
このようなお悩みにお応えするのが当社の「ネットワーキングとエンジニアリングのシナジー」なのです。具体的にどのようなことなのか、事例を示しながらご紹介いたします。

今回ご紹介するのは、現場の安全確保を図る危険行動検知のユースケースです。産業や社会インフラの現場においては、無人化による効率化が進む一方、安全に対するさまざまなリスクも高まっています。そこで人の危険行動を察知したら警報を発信するシステムを構想してデモシステムを開発しました。
人の行動をモニタリングする装置としては、ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社のインテリジェントビジョンセンサーIMX500 を適用した組込みデバイスを試作しました(図1)。IMX500 は、AI処理機能を内蔵したイメージセンサーであり、ワンチップ内で AI による画像解析処理が可能です。たとえば犬の撮像画像から“犬”と認識し、そのメタデータ(”犬”)だけをクラウドに上げることができるので、ネットワークのトラフィック量を減らすことが可能です。また、人のモニタリングにおいても顔の画像など個人情報を出力せずメタデータ(”人”)だけを転送できるので、プライバシーへの配慮も可能になるという、たいへん優れたイメージセンサーなのです。

図1
図1.インテリジェントビジョンセンサー IMX500


ひとつ目のケースは、重機が動く危険エリアへの人物の侵入検知の例です。デモ動画をご覧ください(動画1)。

インテリジェントビジョンセンサーIMX500 重機が動く危険エリアへの人物の侵入検知例

動画1.重機が動く危険エリアでの侵入検知のデモ動画


動画の中で、認識した人物に「person」と表示されています。重機が動く危険なエリアに人が立ち入った場合、リアルタイムで IMX500 によって検知しています。

ふたつ目のケースは、倉庫内をフォークリフトが往来する危険エリアにおいて人物検知を行う例です。こちらもデモ動画をご覧いただけます。

インテリジェントビジョンセンサーIMX500 倉庫内の危険エリアにおける人物検知例

動画2.倉庫内の危険エリアにおける人物検知のデモ動画


先ほどの例と同様に、人物が緑色に囲まれ、「person」と表示されていることが確認できます。
これらの人物は黄色のベストを着用しヘルメットをかぶっていますが、もしここに黄色のベストを着用していない人や、ヘルメットをかぶっていない人が入ってきた際には、許可されていない人物と認識させることが可能です。

この開発した組み込みデバイス(IMX500 搭載カメラ)で取得されたセンシングデータは、場内ネットワークとキャリアネットワークを介して、セキュリティを確保した形でクラウドへ転送され、デジタルアプリケーションによりデータ利活用することが可能です(図2)。このケースでは、たとえば自動侵入検知システムが該当します。このように、クラウドとのネットワークインテグレーションも、当社が長年培ってきたネットワーク構築力が発揮できる領域です。

図2
図2.クラウドとのネットワークインテグレーション


エンジニアリングとネットワーキングのシナジーの具体例として、専用の組み込みデバイスの開発から、クラウドとのネットワークインテグレーションまで、ワンストップで現場課題を解決するシステムの構築ができることを説明させていただきました。
いかがだったでしょうか?当社のユニークな一面を感じていただけたでしょうか?当社の提供する「エンジニアリングとネットワーキングのシナジー」について、お客さまのお役に立てるよう、これからも具体的な事例を通してご紹介していきたいと思います。

株式会社 日立情報通信エンジニアリング
CTO 松並 直人