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CTO’s Office

脱炭素化社会への貢献
【第1回】私たちの脱炭素化に向けたイニシアチブとは?

CTO 松並 直人
株式会社 日立情報通信エンジニアリング CTO  松並 直人

キーワード

  • #脱炭素
  • #カーボンニュートラル
  • #CO₂削減
  • #サーキュラーエコノミー
  • #循環型経済

はじめに

みなさま、こんにちは。 CTOの松並です。
本日は、私たちが取り組む脱炭素化社会への貢献と、そのイニシアチブについてお話しいたします。
世界では、カーボンニュートラル(CN)の実現に向けた取り組みが注目を浴びています。私たちは、「日立創業の精神(*1)の下、優れた情報通信技術で社会に貢献する」という企業理念に基づいて、最も重要な社会課題のひとつである脱炭素化社会の実現をめざして活動しています。
日立グループが「環境ビジョン」においてめざしているのは、「脱炭素社会」、「高度循環社会」、「自然共生社会」の実現ですが、それらを具体的な行動につなげるために、私たちは日立グループの一員として自らの役割を担っていきます。具体的には、私たちは、通信・ネットワーク機器とその構築を中心とするネットワーキング事業と、製品の受託開発を中心としたエンジニアリング事業を展開していますので、技術力とイノベーションで、CO₂排出量に配慮した製品提供や、環境に配慮した製品開発のご支援などの取り組みで貢献していきます。
この記事では、私たちが取り組む脱炭素化に向けたイニシアチブの概要についてご紹介します。なお、各々のイニシアチブの詳細は、この記事に続く連載記事として順次ご紹介していきます。

当社の脱炭素化に向けたイニシアチブ

(1)バリューチェーンのCO₂排出量の見える化
私たちは、バリューチェーン全体でのCO₂排出量を見える化することから取り組んでいます。見える化することによって、CO₂削減の戦略を立て、優先順位を付けることができるからです。特に製品のライフサイクルの中では、「使用ステージ」でCO₂排出量が最も大きいことがわかっているので(日立の例では使用ステージの比率が82.4%(2021年時点)(*2))、この「使用ステージ」における取り組みが最も重要になります。
「使用ステージ」におけるCO₂排出量の見える化の一例をあげます。当社の主力製品であるCiscoネットワーク機器に関しては、以前のブログ “ハイブリッドクラウドによるグリーン化に向けた価値の提供”(*3)でも述べた通り、EverFlex from Hitachiのソリューションの下で、サーバー・ストレージとも連動することで、データセンター全体でのCO₂排出量の見える化を指向して、取り組みに着手しています。
また、PBX、OCRなど他の自社製品でも、稼働時の電力消費を見える化するとともに、CFP (Carbon Footprint of Products) として認証を取得しています。

(2)CO₂排出量の削減
私たちのCO₂排出量削減の取り組みには、2つの柱があります。まず、自社のCO₂排出量削減に取り組むこと(サプライチェーン排出量のScope 1/2(*4))と、製品・サービスを通じてお客さまのCO₂排出量削減に貢献すること(Scope 3(同))です。
前者に関しては、当社の全12拠点におけるエネルギー使用量の低減を通して、CO₂排出量の削減に努めています。この継続的な取り組みの結果、2010年度に比べた2022年度におけるCO₂排出量の削減率は、目標の39.5%に対し、実績としては45.5%の削減を達成することができました。

CO₂排出量削減(2010年度比)CO₂排出量削減(2010年度比)

後者に関しては、私たちは、各製品のCO₂排出量削減のためのアクションプランを策定しました。具体的には、各製品のCO₂排出量削減に向けたロードマップを策定し、エコデザインの進化や環境配慮設計、環境配慮材料の使用について、計画を立てて推進しています。

(3)機器回収スキームの確立
私たちは、IT機器におけるサーキュラー・エコノミー(循環型経済)の形成をめざしています。その実現には、使用済み製品の回収、リユース、リサイクルが重要です。廃棄物削減とリサイクル推進により、バリューチェーン全体でCO₂排出量を削減することができます。また、使用済み製品の回収・リユースにより、各部位や部品の個々の寿命まで利用できるようになります。
具体的には、主力製品のCiscoネットワーク機器やPBXに対して、既に安全な廃棄とリサイクルを実施中です。しかしながら、サーキュラー・エコノミーの形成のためには、それに加えて、使用済み製品の回収とリユースにも取り組むことが重要です。これらにも着手を始めており、さらなる社会的責任を果たしていく考えです。

再資源利用

おわりに

私たちの脱炭素化に向けたイニシアチブをご紹介して参りました。しかしながら、これらの活動の目標は私たちだけでは達成できません。お客さまやパートナーさまと共に歩んでいくことが重要です。私たちは持続可能な社会を築くために情報通信エンジニアリング技術を用いて全力を尽くして貢献します。私たちのグリーンな製品・サービスを通して、お客さまと共に脱炭素化社会の実現に貢献できることを心から願っています。

持続可能な社会


2023年6月
株式会社 日立情報通信エンジニアリング
CTO 松並 直人



*1
日立創業の精神:"和・誠・開拓者精神"
日立創業の精神は、創業者や先人たちが、100年を越える歴史のなかで、大切に育んできた精神。そして、日立グループが、新しい価値の創造に向けてグローバルに挑戦し続ける上で、これからも変わることなく大切にしていく価値。
*2
出典:「日立 サステナビリティレポート 2022」 p.41 日立のバリューチェーン各ステージでのCO₂排出量の割合(2021年度)より
https://www.hitachi.co.jp/sustainability/download/pdf/ja_sustainability2022_print.pdf
*3
連載コラム:SD-WAN/SASEを用いてハイブリッドクラウドのネットワークを実現する秘訣とは?
【第1回】ハイブリッドクラウドによるグリーン化に向けた価値の提供
https://www.hitachi-ite.co.jp/column/37.html
*4
CO₂などの温室効果ガスの排出量を、会社など組織全体で公正に算定するために、「サプライチェーン排出量」という基準が策定されています。 これは、原料調達・製造・物流・販売・廃棄並びに資本財・出張・通勤などの事業者の組織活動全体を対象とした温室効果ガス排出量を測定するもので、以下のScope 1/2/3という3種類からなります。
Scope 1:事業者自らの燃料の燃焼や工業プロセスに伴う排出(直接排出)
Scope 2:他社から供給された電気・熱・蒸気などのエネルギー使用に伴う排出(間接排出)
Scope 3:事業者の活動に関連するその他の排出(Scope1、2以外の間接排出)