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IoT(Internet of Things)データ利活用のツボ
エッジ(現場)におけるIoTデータ利活用のポイント
〜エッジデバイス編〜

エンジニアリング事業部 エンジニアリング事業企画本部 専任部長 須賀田 勉
株式会社 日立情報通信エンジニアリング エンジニアリング事業部 エンジニアリング事業企画本部 販売促進部 専任部長 須賀田 勉

キーワード

  • #ネットワーク
  • #IoT-Edgeネットワーキング
  • #エッジデバイス
  • #データ利活用
本記事でお伝えしたいこと
・IoTの活用にはデータが生成される「エッジ(現場)」へのエッジデバイス導入が必要
・現場へのエッジデバイス導入においては機能に加えて、設置環境対応などさまざまな考慮が必要

株式会社日立情報通信エンジニアリングの須賀田と申します。
私は当社3つの事業領域の1つ「IoT-Edgeネットワーキング」の技術分野を担当しており、ご提供いたしますサービスを通して、お客さまに貢献できる当社の価値について、できるだけ易しくご説明して参りたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。
みなさまは「IoTデータの活用」という言葉を聞くと、どのようなイメージを持たれるでしょうか?「AI(人工知能)」や「自動制御」といった、先進的なキーワードをイメージされる方も多いのではないかと思います。
これら先進的な技術を活用するには、現場で生成される多くのIoTデータを取得、収集してアプリケーションで分析や解析を行い、得られた結果を課題解決の一助として利用するというのが一般的です。実際のIoT導入においては、まず導入する目的を定めて、その目的を達成するため、どのようなアプリケーションやサービスを活用するか検討する流れが一般的です。それらの検討を行ったのち、いざIoTを導入しよう!というタイミングで現場のデータをどのように取得したらよいか?取得したデータをどのようにアプリケーションやサービスへつなげればよいのか?悩まれる方も多いと思います。今回は「エッジ(現場)におけるIoTデータ利活用のポイント」と題しまして、現場でIoTデータを取得、収集するセンサーやカメラなど「エッジデバイス」の導入について、導入のポイントをご説明したいと思います。
多くの場合、IoTデータは現場で生成され、そのデータを取得、収集した後、アプリケーションがデータを活用できるよう、データの整正(クレンジング)を行い、蓄積するといった流れとなります。

図1.当社が考えるIoTデータ利活用の流れ

図1.当社が考えるIoTデータ利活用の流れ

当社が「エッジデバイス」と称している箇所は図1で示します「IoTデータ取得」で活用される機器で、主に現場に設置されるセンサーやカメラなどを指します。IoTデータは近年さまざまなシーンで利用されていますが、データを収集しアプリケーションにつなぐためには現場でのエッジデバイスの活用が必要となります。

製造工場におけるIoTデータ取得例

図2.工場内へのエッジデバイス設置

図2.工場内へのエッジデバイス設置

たとえば、製造工場において生産設備のIoTデータを活用する場合、エッジデバイスは製造工場にある生産設備の近くに設置する必要があります。この場合エッジデバイスの設置環境は「工場内」となりますので、雨風はしのげるものの、ほこりなどは多く、気温も比較的高温や低温となる環境となります。

社会インフラにおけるIoTデータ取得例

図3.野外へのエッジデバイス設置

図3.野外へのエッジデバイス設置

別の例として社会インフラ設備(例えば野外に設置されている電力設備など)の管理をしたい場合、エッジデバイスの設置環境は「野外」となるケースもあり、雨天に耐えうる防滴性能や氷点下に対応した気温への考慮、エッジデバイスを駆動する電源の確保や取得したIoTデータを上位につなぐネットワーク手段などに考慮が必要となります。
このように同じ「IoTデータ取得」でも、データセンシングを行う対象によりエッジデバイスの導入における考慮するポイントは大きく異なります。

エッジデバイス導入におけるポイント

エッジデバイスの導入に際して、当社が考える考慮すべきポイントをご説明します。
当社がIoTデータの取得に際しセンサーの選定を行う場合、下記のステップで選定を進めます。
@「機能要件」への対応
まずは、機能要件への対応です。
外気温データの取得を例とした場合、例えば「25℃」の温度を測定する場合は、センサーの温度測定温度範囲に「25℃」が含まれることはもちろんですが、測定時に起こりうる外気温の温度範囲にも対応したセンサーを選定することが必要になります。一般的な日本の外気温を測定する場合は-30℃から+50℃くらいまでを測定範囲とすることで対応は可能となります。
機能要件への対応では、測定する内容や測定範囲を明確にして活用するセンサーの選定を行います。
A「非機能要件」への対応
次に非機能要件への対応です。非機能要件とは直接的な要件(温度測定の場合は温度測定範囲など)とは異なりますが、センサーを活用するにあたっては必須となる機能を指します。例として外気温データを取得する温度センサーの場合では、センサーが設置される場所が野外であれば雨天への対応として「防滴機能」が必要となります。非機能要件は機能や性能、品質といった多岐にわたる項目がありますが、それらを事前に明確にした上で活用するデバイスを選定することがIoTシステム全体の使いやすさや、質の向上につながります。

図4.IoTエッジ領域における非機能要件項目(一部)

図4.IoTエッジ領域における非機能要件項目(一部)

今回はセンサー選定の例をご説明しましたが、センサーを含め多くの機器を活用するIoT導入においては、さまざまな考慮すべきポイントがあります。当社ではお客さまのIoT導入目的に加えて、導入環境などヒアリングをさせていただき、エッジデバイスの選定、提案をさせていただきます。
今回は「エッジ(現場)におけるIoTデータ利活用のポイント〜エッジデバイス編〜」を紹介しました。次回は「IoTデータ利活用のポイント〜IoTネットワーク編〜」をご紹介します。

株式会社 日立情報通信エンジニアリング
エンジニアリング事業部 エンジニアリング事業企画本部 販売促進部 専任部長 須賀田 勉