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ちょっと古くて実は新しいデータプロテクション

ネットワーキング事業部 ネットワーキング事業企画本部 主管技師 堀 泰三

キーワード

  • #ネットワーク
  • #データプロテクション
  • #セキュリティ

日立情報通信エンジアリングの堀です。本日は、ちょっと古くて実は新しいデータプロテクションと題してコラムをお届けします。

企業のデジタル化、働き方の多様性といったさまざまな側面から企業の経営に最も重要な財産は『データ(情報)』と考えています。例えば、Dell Technologiesの創業者であるMichael Dellは過去さまざまなインタビュー、プレゼンテーションで『If AI is a rocket ship, the data is the fuel.』と述べています。
これはデータという燃料が無ければロケット/AIだって動かないよね、という意味で、デジタル時代におけるデータの重要性を非常に上手く表現しており個人的に大好きな言葉です。

このように非常に重要な『データ(情報)』ですが、日々さまざまなリスク(情報漏洩、流出、ウイルス感染、人的ミスによるデータの誤入力・削除、ハードウェア障害による喪失等々)に直面しています。
では、このような状況においてデータの保護には何が重要でしょうか。

データ保護に向けた予防と回復

まず、第一はウイルス感染等によるデータの棄損を防ぐこと、つまり予防です。これまで当社のコラムでは『ネットワークのセキュリティ』に関し幾つかお届けしてきましたが、これらはAWS、Azure、Microsoft 365、などに代表されるパブリッククラウドの活用において、外部ネットワークと接続することで生ずるウイルス感染、またそれによるデータの棄損への予防ソリューションに相当します。 これらは、いずれも非常に有効なソリューションではありますが、皆さんご存じの通りセキュリティ対策に100%確実はありません。このため、我々は万が一のデータ棄損に備え、その検出とデータの回復(レジリエンス)を第二の手段として用意しておくことが重要になります。本日は、このデータの回復に必須のアイテムであるデータバックアップについて、最近注目が集まっている話題をお伝えしたいと思います。

データバックアップ

「データバックアップ」は古くからあるIT技術の1つですが日々進化を続けています。近年、バックアップデータの格納先はその利便性からネットワークに接続されたストレージ/NASクラウド/オンラインストレージが使用される傾向にありますが、一方でこれらはネットワークに常時接続する装置で有るため、バックアップデータ自体の保護が一つの課題になっています。
そこで、注目を集めているのがバックアップデータのイミュータブル化、またバックアップ媒体としてのテープです。イミュータブルとは「変更不可能」という意味で、イミュータブル化とはバックアップデータを不変/変更不可能にし、ウイルス等によるデータ削除、暗号化、変更を阻止して復旧のためのバックアップデータを保護することを指します。

このイミュータブル化は前述のネットワーク常時接続型バックアップでは、バックアップデータに対し装置内で論理的にWORM(Write Once Read Many)設定することで提供されています。一方、テープバックアップの場合は、装置にテープ媒体をセットしないと読み書きできないため、バックアップ後に装置からテープ媒体を取り出した時点でネットワークから物理的に切断、またテープカートリッジにWORM設定をする物理機構があり、バックアップ後にWORM設定をしてしまえば以降物理的にデータ変更が不可能になるなど、イミュータブルの強度としてはより理想的な形で提供されます。
このように何れの形式のバックアップでもイミュータブル化が提供されていますが、歴史的に古いテープバックアップがデータ保護の観点ではより強固というのは、興味深い事実です。

以上簡単ではありますが、近年話題になっている“バックアップデータのイミュータブル化”についてご紹介しました。企業の重要な財産である「データ」を守り抜く、そのためには単独の技術では無く、予防と回復と言う2段構えの対応が必要であること、回復のための砦であるバックアップにもそれ自体のセキュリティ確保が重要になっていることについてご理解いただけたかと思います。
当社は予防の観点からネットワークセキュリティ、回復の観点からデータバックアップを用意しております。お客さまのご要望に応じて、これらを組み合わせた最適なデータ保護ソリューションをご提供し、社会のデジタル化に貢献させていただければと考えています。

2022年8月
株式会社 日立情報通信エンジニアリング
ネットワーキング事業部 ネットワーキング事業企画本部 事業戦略部 主管技師 堀 泰三

※記事の内容は、編集・執筆当時のものですので、現在の情報と異なる場合があります。 編集・執筆の時期については、それぞれの記事の末尾の名前の部分をご覧ください。