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株式会社 日立情報通信エンジニアリング

地上デジタル放送のバックアップをIP網で実現

[RKB毎日放送株式会社 様]

放送映像伝送ソリューションのひとつTS over IP伝送装置「UM6000R」のファーストユーザー、RKB毎日放送株式会社様の導入事例をご紹介します。

お客さま情報

 福岡市に本拠を構えるRKB毎日放送株式会社(以下、RKB)様は、1951年に全国の民放局として4番目に誕生した長い歴史を持つ企業です。
 テレビ・ラジオ放送のほか、ワンセグ・データ放送・Webなどのメディア事業にも注力。2016年春からはAMラジオの災害・難聴対策となるワイドFM放送もスタートします。RKB様は、地上デジタル放送をIP網でバックアップする当社の「UM6000R」を導入され、災害や機器トラブル発生時でも放送を継続できる安定的なネットワーク環境を実現しました。なお、本システム構成は、2015年 日本民間放送連盟賞 技術部門優秀賞を受賞しています。

RKB毎日放送株式会社

RKB毎日放送株式会社ロゴ

商号 RKB毎日放送株式会社
本社所在地 福岡市早良区百道浜2-3-8
設立 1951年6月
資本金 5億6,000万円
ホームページ http://rkb.jp/

RKB毎日放送株式会社光永様写真
RKB毎日放送株式会社
技術局技術管理部 副部長
光永 直寛 氏

新システム導入のねらい
非常時にも放送を継続できるバックアップ手段が必要だった

 福岡県を中心とした北部九州、山口県西部地域の視聴者に、日々良質な放送コンテンツを提供されているRKB様。同社の技術局は、番組制作に関わる新技術や機材の開発に積極的で、全国の民放 では初のフルマラソン生中継を成功させたり、中継車を製作するなど、数々のユニークな成果をあげています。そして2012年には、当社、RKB様および西日本電信電話株式会社(以下、NTT西日本)様の3社共同で、IP網を利用した地上デジタル放送バックアップの実証実験を行いました。

光永氏「 テレビの地上波放送は、どのような非常時にも決して止まることが許されないメディアです。災害や機器トラブルなどで通常の電波(STL*1)が使用できない場合でも、放送を継続するためのバックアップ手段が必要でした。電波の装置は二重化されていますが、雷や着氷で山頂にある送信所のアンテナが壊れたり、異常気象で電波が届かなくなる可能性もあります。一方、異ルートでの無線中継、有線系の光専用線を引く手段はコストが高く、IP網を利用する既存の伝送装置は地デジの特長であるSFN*2に対応していません。安価なIP網を使った解決策はないかと、NTT西日本様に相談したところ、日立情報通信エンジニアリング様なら実績もあり、開発可能ではないかとご紹介をいただきました。そこで3社協力のもと、新たなIP伝送装置の実証実験に挑戦することになったのです。」

*1
Studio to Transmitter Link : 放送内容を演奏所から送信所へ送るための回線
*2
Single Frequency Network : 単一の送信周波数を利用する地デジ・ネットワーク

新システムの概要
ベストエフォート型IP網でも、高品質な地デジ伝送を実現

 RKB様の地デジ伝送に関する知見と要望をもとに、当社はケーブルテレビ局間の映像伝送装置として実績のある「UMシリーズ」の基盤技術に、「マスタークロック伝送機能」「遅延時間測定機能」「伝送帯域削減機能」という3つの新機能を実装した「UM6000R」を開発。RKB様の福岡タワーと北九州・久留米の中継局を、NTT西日本様のフレッツ光(ベストエフォート型IP網)で結んだバックアップ環境を構築しました。

光永氏「 地デジ用のSFNが問題なく伝送できるかどうか検証するため、試験用OFDM変調器*3で擬似的にSFNを作り、約1年にわたる実証実験を行いました。その結果、IP網でも非常に高品質な伝送が実現できると分かり、2013年からそのまま実運用に入りました。」

*3
デジタル放送信号を中継局から発信する電波に変換する装置

地上デジタル放送のバックアップ伝送概要図
地上デジタル放送のバックアップ伝送概要図

製品への評価
地上デジタル放送では画期的なIP網でのマスタークロック伝送機能

 地デジ伝送を実現するため「UM6000R」に実装した新機能について、ファーストユーザーであるRKB光永氏に解説とご意見を伺いました。

マスタークロック伝送機能

映像信号に加え同期信号(マスタークロック)を送り手(演奏所)から受け手(送信所)へ送信する機能です。SFNでは同じ周波数を使うすべての送信所でタイミングを合わせて放送しなければならないため、IP網でSFNを実現するためには、正確な同期が重要なカギとなります。帯域保証されていないベストエフォート型IP網で、これだけの精度を実現するのはかなり困難だと思われましたが、見事にこの要件をクリアしていただきました。

 

伝送帯域削減機能

地デジの放送信号には本来の映像・音声データのほかに、伝送ビットレート調整のための無効データが含まれています。そこで伝送中は無効データを削減し、受信側でそのデータを復元する機能をUM6000Rに付加していただきました。これにより、フレッツ光などの低コストなベストエフォート型IP網を使う際にも、トラフィック負担が軽減し、パケットロスの発生確率も下がるなど、伝送帯域の安定性向上に寄与しています。

 

遅延時間測定機能

SFN伝送における電波干渉回避を目的に、演奏所と送信所の間で生じる遅延時間を計測・設定するための機能です。遅延時間がずれると互いの電波が妨害波となり映像が映りません。そこで遅延時間を正確に測定し、ずれが生じないよう固定化できるこの技術が必要でした。実運用でも常に正確に機能しており、不安をまったく感じません。

 

導入効果
リスク低減効果と安心感に満足

国を挙げて放送インフラの安全・信頼性の確保が叫ばれている中、災害や機器トラブルで無線伝送が途絶えた場合でも、すぐIP網に切り替えて地デジサービスを継続できる安心感は何ものにも 代えがたいですね。先日もSTLの保守で夜間にアンテナを切り離す工事を行いましたが、仮に工事終了が放送開始時間に間に合わなかったとしても、UM6000Rがあることで安心して対応できる と実感しました。私どもが理想とするシステムに適合する製品「UM6000R 」を供給していただいた日立情報通信エンジニアリング様の技術力と対応力には非常に満足しています。放送系設備のIP化が進む中、引き続き最先端の製品を開発していただけることを期待しています。

当社の放送映像伝送ソリューションの展望
国内実績をふまえ、グローバル展開にも挑戦

24時間365日リモートで監視・保守のイメージ

 「UM6000R」はRKB様のほか、国内テレビ局6局ですでに30台以上が稼働しており、他にも多くの引き合いをいただいています。日本のみならず海外市場にも積極的な営業活動を行っており、IP網を使った安定的で強靱な放送ネットワークの実現をグローバルに展開していきたいと考えています。
 また当社では、導入いただいた「UM6000R」の設備状態やネットワーク品質を24時間365日リモートで監視し、障害やお問い合わせに対応する「遠隔保守・運用支援サービス」も提供しています。運用負担の軽減と事業継続性の向上に、ぜひお役立てください。

関連ソリューション・製品

本事例に記載の情報は取材時のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。

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